あなたの虜になってしまったんだ

way upon the mountain where she died　あの人がうたってくれた歌




胸が苦しくて　息もできなくて　眩暈に魘われて　

三年間　聞くことができなかった想い出の曲.  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .

                                                            




弟のライブの帰り道


あの消え入りそうな三日月を見ながら
この歌をうたってくれた



優しい歌だな　優しい歌だよな　って言いながら
いつもうたってくれたんだ




気づくとふたり　いつも消えてしまいそうな三日月を見ていた

すべてが無邪気だった　短かったけれど素敵な時間だった



けれど

純粋すぎるあの人のこゝろと愛を抱えきれなくなってしまった



そして私はすべてをすてて　彼の前から消えた　





彼のこゝろとあたまが狂ってしまったと聞いた






ある朝　テレビのニュースの中に彼がいた


今生からかけ離れたところへ　あのひとはまた行ってしまった


私への憎しみと殺意を抱いて






もしもいつの日か私とあの人がまた逢うとするならば

殺されるとき

ずっとそう思ってきた




ぶっ殺してやる　そう言っていると聞いた




そんなあの人が

雨の中　歩いてくる　だれも寄せつけないかのように　肩を揺らしながら　

あの頃と変わらない　あの歩きかただった　




すごく怖くて苦しいのに　

懐かしいと思った





二人で



出逢った日のこと

二人だけの遊園地

いつもうたを唄ったこと

動物園

夜の散歩

戦ったこと

原宿の留置所

ボート

鴨居令の個展

毎朝見たcreepのビデオ

仕事抜け出して原宿の街をいつも歩いたこと

ふたりでよく行った銭湯のこと

拘置所

あの彼女のこと

刑務所

友達のこと

家族のこと

愛する人がある朝突然消えてしまうこと

捨てられたこゝろ

３年間憎しみつづけたこと

これからのこと


たくさんの話をした





それから弟みたいな彼に電話をしてくれた　


私の声なんて聞きたくないのわかっていたけど

私はどうしても彼の声が聞きたかった




変わらない優しい声



彼の優しさに
あの人も私も涙があふれてどうすることもできなかった







そう. . . . . . .


梅雨空の木曜日　三年ぶりにあの人に逢ったんだ


前に進むために逢おうと言ってくれたの



蟠りがすべて無くなったとは思わないし


傷つけた彼のこゝろが晴れることはないとわかっている


だけど　少しずつ　胸の閊えがとれていく　と言ってくれた




私のこゝろも変わっていくと思う



また　こんな思いや出来事をここに書いて　どういうつもりだろう　と思う人もいるんだろうな

不安な気持ちになる人もいるかもしれない




でもね　これを読んで安心してくれる人がいてくれたら　いい　と思った



それに　ここに書けよって　あの人が言ってくれたの　



俺　ブログとか大っ嫌いだし　

そういうところに出されるのも嫌いなの知ってんだろう？って言いながら




まっ　お前はそういうことを書いてすっきりするんだよな　

じゃあいいよ　書きゃいいじゃん　書けよって　笑いながら言ったんだ
















書こうか迷っていた


こゝろをささえてくれるあなたが嫌な気持ちになると思ったから


帰り道


ブログアップしたよってあなたが言った　



開くと
キョウの私のことを書いているんじゃないか？　っていう一行があった



涙でた




書きたい　書かなきゃ　っていう衝動に駆られて書いてしまった



あの日に戻りたいなんて　思ったわけじゃない




あの日があったから　

あの人を狂わせて　

自分も狂って　家族や友達も傷つけた　そんな日があったから　あなたに出逢った





その事実を書き残したいと思った




傷つけて　傷ついて　ボロボロになっても　すべての思いをぶつける恋が自分らしいと思っていたけど




そんなの違うんだって

かわらない優しくて穏やかな愛があるんだっていうことを教えてくれた



消えてしまいそうな三日月を見るよりも

明るく照らしてくれる満月をふたりで見るほうが好き　



今　そう思ってる




久しぶりに自分のこゝろの中のことを書いてしまった .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .  .